2007年12月25日
ポルトガル風「タラのコロッケ」

【ポルト,歴史地区とドウロ河をのぞんで】
ポルトガルの4回目は「タラのコロッケ」です。
ポルトガルには魚介類を使った料理が多く,中でも重要な食材がバカリャウという干した鱈です。今回真似する元となるバカリャウを使ったコロッケ「パスティス・デ・バカリャウ」や,卵とじにした「バカリャウ・ア・ブラス」などなど他にも様々に使われ,家庭の数だけ料理の種類があると言われているそうです。この写真はポルトの街を歩いていたときに見かけた食材店,入り口にたくさんのバカリャウがぶら下がっているのを見かけて驚きました。

バカリャウはブラジルの食材を扱う店などで輸入品,また一部日本でも作っているものが手に入るそうです。しかし,入手しづらいですし,私も実はまだ使った経験がありません。一度すき身鱈を戻して作ってみたところあまり美味しくありませんでした。そこで,生の鱈を代わりに使って,あくまで"ポルトガル風"にタラのコロッケを作ります。

●材料(4-5人分)
・ジャガイモ 600g
・タラ 4切れ
・タマネギ 小1個
・卵 1個
・イタリアンパセリ 数束
・コリアンダー(香菜) 数束
・塩 適量
・オリーブオイル等の揚げ油 適量
●作り方
(1)
・タラの両面に塩をふって,網を敷いたバットやざるの上に載せます
・ラップをかけずに冷蔵庫に一晩ほど置きます
※干物用の網があれば干してもいいでしょう
(2)
・タマネギはみじん切りにします
・イタリアンパセリとコリアンダーの葉をみじん切りにします
・卵は溶いておきます
(3)
・(1)をグリルで焼きます(普通の焼き魚です)
・焼きあがったら骨と皮をとり,身をほぐします
(4)
・ジャガイモを串が通るくらいまでの柔らかさにゆでます
・ゆであがったら水気を切り,つぶしてマッシュポテト状にします
(5)

・(4)に(2)と(3)を加え,混ぜ合わせてタネにします
・ラグビーボール状にまとめます
※写真では2本のスプーンで交互にすくうようにして形をまとめています。普通のコロッケのように手で丸めてもいいです。


(6)
・180度の揚げ油で(5)を揚げます
・キツネ色に揚がったら出来上がりです
※素揚げで崩れるようでしたら表面に軽く小麦粉をつけてから揚げるといいです

戻したバカリャウには独特の食感があり,その点では本物の「パスティス・デ・バカリャウ」には及ばないものの,タラとジャガイモが相性ぴったりでおいしいです。ちょっとしたパーティで前菜やおつまみにしたり,いつもの肉を使ったコロッケを一味変えてみるのもいいですね。クリスマスや年末らしい料理を思いつかなかったのですが,ポルトガルではクリスマスイブにバカリャウ料理を食べる習慣があるそうなので,当たらずとも遠からずかな?と思ったり。
今年はポルトガル好きが高じてポルトガル語を習ったり,この「旅とレシピと太五郎」を始めたりと,新しいスタートの多い年でした。ポルトガル語を習ってみると,発音や表現にもポルトガルらしさが感じられて,風土や文化と言葉とのつながりを強く意識するようになりました。また各国の家庭料理を作るのにあらためて調べると,食文化の背景など学ぶことがとても多かったです。来年もいろいろと作っていきますので,お楽しみいただけたらと思います。
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2007年12月14日
ブルガリアの肉野菜煮込み「カヴァルマ」

【世界遺産,ブルガリア正教の中心地・リラの僧院】
寒い季節に暖まるブルガリアの料理です。
ブルガリアを訪れたのは2002年,これまでにも紹介したルーマニアの後,ブカレストから夜行列車でソフィアに行きました。1泊なので宿を探すのも面倒くさく,ソフィア駅で最初に声をかけてきたおじさんについて,民宿に行きました。
着くなり用意してくれた朝食をいただき,「リラの僧院」への行き方を教えてもらって,さっそくバスに乗り込みました。段々と山深く走って行き,周囲は霧も深くなってきます。バスを降り,霧の立ち込める中,門を抜けてこの僧院を見上げたときは本当に驚きました。荘厳な姿の僧院には,天井や壁に正教らしく色鮮やかなフレスコ画が施されています。それは曼荼羅を思い起こさせ,まるで密教の寺院のようです。本当に美しくて,涙が出てきました。

宿に帰ってくると夕食を用意してくれていました。それが今回紹介するカヴァルマ(写真右)です。肉や野菜を陶器の器でオーブン煮込みにした料理,ソフィアはけっこう寒く,とても温まりました。写真左に写っているのはショプスカサラダ,削ったフェタチーズがかかったサラダです。農業国のブルガリアは野菜がとてもおいしくて,クリームのかわりにヨーグルトを使うので,ヘルシーな料理が多いようです。何も考えずに泊まりましたが,とてもいい民宿でした。
このカヴァルマ,フライパンで炒めたら,あとはオーブンに入れて放っておくだけなので簡単。耐熱できる器を使ってください。

●材料(3人分)
・豚ロース肉 450g
・タマネギ 小2個
・ししとう 80-90g
・マッシュルーム 中15個程度
・トマト 小3個
・卵 3個
・野菜ジュース 125ml
・白ワイン 25ml
・パプリカパウダー 小さじ1/2
・クミンパウダー 小さじ1/2
・オリーブオイル 適量
・塩 適量
・白胡椒 適量
●作り方
(1)
・豚肉は2cm角ほどに切ります
・タマネギとシシトウは2cmくらいの食べやすい大きさに切ります
・マッシュルームは縦半分に切ります
・トマトはさいの目に切ります

(2)
・フライパンにオリーブオイルをひいて,タマネギと豚肉を炒めます
・タマネギが透き通り豚肉の表面が色づいたら,シシトウ,マッシュルーム,トマトを加えて炒めます
・油がなじんだら,パプリカとクミンをふり,白ワインと野菜ジュースを加えて塩胡椒で味を調え,5分くらい煮ます

(3)
・底の深い耐熱皿に(2)を入れ,上に生卵を落とします
・蓋をして,予熱しておいたオーブンで180度・20分間ほど加熱します
・卵が固まったら出来上がりです

他にもいろいろな作り方,豚肉の他に牛レバーが入ったり,他の野菜を使うレシピもみかけました。手に入らなかったのですが,セイボリーというハーブを使うことが多いようです。冷蔵庫に余っているいろいろな野菜でつくってもいいですね。今回使った土鍋のような器,これからの季節に重宝すると思い,オーブンに入れても大丈夫なものを買ってきました。ポルトガル製です。出来上がってから気付きました,ちょっと色合いが足りませんね,刻んだパセリを散らすと香りもついていいと思います(冷蔵庫にあったつもりがきらしていました)。

ソフィアからロンドンを経由しての帰国便では産まれて初めてオーロラを見ました。この頃は太陽活動が活発だったそうで,外が夜のあいだ中見えていました。ブレてしまっていますが,この写真のように緑色に輝く光の帯がたなびいていました。機内の灯が邪魔しないよう毛布をかぶり,窓枠に覆いかぶさるようにして見ていたのが目立ったのか,他の人たちの興味も惹いたようです。フランスから日本に赴任するところの修道女さんや,韓国の学生さんらとオーロラをきっかけに話がふくらみ,まったく退屈しないフライトになりました。
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2007年12月04日
ポルトガル「豚とアサリのアレンテージョ風」と「カルド・ヴェルデ」

【左:リスボンの市場にて果物や栗,右:ラーゴスの市場には太刀魚や鱈が】
ポルトガルの3回目はとてもお手軽な2品です。
第1回目に,モロッコでひどくお腹を壊したことを書きました。毎回トラブル話ですが,このときは壊れたお腹に加えてさらに困ったことが起こりました。ロンドンを経由して空路でモロッコ・カサブランカに入り,マラケシュで数日間過ごし,タンジェという港町からジブラルタル海峡を渡ってスペインからポルトガルへ,という旅程を考えていました。
腹具合も悪い中,タンジェのフェリー乗り場につきました。チケットを買い,さて出国手続…担当者から出国できないと言われます。「空路でモロッコに入ったら,空路で出なければならない。私の仕事はそういう人間を審査することだけだ。理由が知りたいなら階下にある警察に聞け。」との一点張り。当の警察もほとんど英語は通じず,出国のことは上で聞けとたらい回しです。他の係員らしい人も「金を払えば出国できるようにしてやる。いくらかって?飛行機のチケット代がどれだけかかるか考えろ。」とふっかけてくる始末で,誰一人として頼りになりません。
そうこうするうちにフェリーは出港,もう泣きそうになりながらテレホンカードを買って日本大使館に電話して相談。そのような規定はないから毅然とした態度で臨むように言われますが,何度交渉してもまともに話が通じる相手はいませんでした。
いよいよ途方に暮れていると,同じように困っている日本人女性2人組を見かけました。声をかけ状況を話して,「3人寄れば文殊の知恵」と協力して臨みましたが,ジブラルタル海峡の壁は非常に高いものでした。これまた途方に暮れていると,警察の偉そうな人が現れ,私たち3人を窓口に連れて行き出国できるよう話をつけてくれました。どうやら日本大使館の方が働きかけてくれたようで,なんとか出国できました。
今回の料理はこんな苦労を重ねてたどり着いたポルトガルの料理,アレンテージョという地方の名物「豚とアサリのアレンテージョ風」と,みそ汁的なスープ「カルド・ヴェルデ」です。カルド・ヴェルデは本来ケールを使いますが,なかなか売ってないですよね。私,今ポルトガル語を習っていまして,先生が小松菜で代用するのがいいと教えてくれました。

●材料(4-5人分)
【豚とアサリのアレンテージョ風】
・豚ロース肉 600g
・アサリ 600g
・コリアンダー(香菜) 3-4束
・ニンニク 2かけ
・ローリエ 2枚
・パプリカパウダー 大さじ1
・白ワイン250ml
・オリーブオイル 適量
・塩 適量
・白胡椒 適量
【カルド・ヴェルデ】
・小松菜 5-6束
・じゃがいも 500-600g
・タマネギ 中1個
・ニンニク 1かけ
・水 1l
・エキストラバージンオリーブオイル(仕上げ用) 適量
・オリーブオイル 適量
・塩 適量
・白胡椒 適量
●作り方
【豚とアサリのアレンテージョ風】
(1)
・アサリは塩水において砂を吐かせておきます
・豚肉は一口大に切ります
・ニンニクはみじん切りにします

(2)
・豚肉に,パプリカパウダー,塩ひとつまみ,白胡椒少々,ローリエ,白ワイン50mlをふりかけマリネします
・バットやチャックつきのポリ袋などに入れ,冷蔵庫で一晩ほど漬けておきます
(3)
・深めのフライパンにオリーブオイルをひき,(2)を表面に火が通るまで炒めます
・アサリを加えて,マリネ液の残りに白ワイン200mlを足したものをかけます
・ふたをして,アサリが開くまで蒸し焼きにします
・アサリが開いたら皿に盛りつけ,刻んだコリアンダーを散らして出来上がりです
【カルド・ヴェルデ】
(1)
・ジャガイモは小さめに刻みます(あとでつぶすので適当に)
・タマネギは薄切りにします
・ニンニクはみじん切りにします
・小松菜は葉の部分だけを使います,広めの幅の千切りにします

(2)
・鍋にオリーブオイルをひき,ニンニクとタマネギを炒めます
・タマネギが透き通ったら水を加え,ジャガイモを入れて煮ます
・ジャガイモがやわらかくなったら,マッシャーでつぶします
※私はジャガイモの食感が残るほうが好きですが,お好みでミキサーを使って滑らかにしてもいいです
(3)
・ジャガイモがつぶれたら塩胡椒で味を整え,小松菜を加えて軽く煮ます
・カップやスープ皿に盛り,エキストラバージンオリーブオイルを適量ふって出来上がりです
※ポルトガルではこの上にチョリソの薄切りを浮かべます

どちらも大雑把に簡単な手順で作ることが出来てお手軽です。豚肉とアサリの組み合わせ,この料理を知るまでは思いもしませんでした。山海の幸があわさってとてもいい味が出ます。仕上げに散らすコリアンダー(香菜),ポルトガル料理ではよく使われる食材で,アジア以外にもこんなに多用する国があるんだと驚きました。カルド・ヴェルデは優しい味なので,私は多めに作っておいて朝食にしたりもします(茹でたソーセージを添えてもあいますよ)。

写真はスペインを経由してやっと着いたポルトガルのヴィラ・レアル・デ・サン・アントニオ駅です。モロッコを出国できたときは心底ホッとして,フェリーの中で泣いてしまいました。今でこそ外務省の海外安全情報で周知されていますが,何も知らずに遭遇するトラブルは堪えました。はじめてのアラブ世界,勝手がぜんぜん違いました。
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