料理レシピ/ボブとアンジーブログ 旅とレシピと太五郎〜ヨーロッパの家庭料理レシピ〜

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2008年02月25日

ポルトガル、カステラの原形「パォン・デ・ロー」


【リスボン,ジェロニモス修道院】

「旅とレシピと太五郎」で初めてのお菓子です。

ヨーロッパの旅では甘いものをいろいろ試すのも好きで,たとえばウィーンではザッハとデメルのザッハトルテを食べ比べたりしました。2004年にポルトガルに行ったときのお目当ては「パスティス・デ・ナタ」,エッグタルトの元になっているお菓子です。

冒頭写真のジェロニモス修道院そばに,1837年創業の「パスティス・デ・ベレン」という老舗があります。持ち帰りや,店内のカフェでコーヒーなどといっしょに味わうことが出来ます。私は写真のように3個,ぺろりと食べてしまいました。高温でパリッと焼かれたパイ生地と,甘さ控えめのクリームがとても美味しかったです。

と,このくらいのお菓子をおやつでたまに食べるのはいいのですが,普通の料理を味わうためにどうしてもお腹を空かせておきたくなります。また料理を優先すると,なかなかレストランでデザートまで辿り着けません(ポルトガルは一人分の分量がとても多い!)。そういうわけで,パスティス・デ・ナタ以外にはあまり食べませんでした。

パスティス・デ・ナタ,家でもたまにつくりますが,折りパイ生地がなかなか大変ですし,家庭用オーブンの温度では力不足なようで,いまひとつパリッと仕上がりません。そこで今回は,日本のポルトガル料理店やお菓子店,またポルトガル語の先生にごちそうになった「パォン・デ・ロー」をつくります。「パォン・デ・ロー」は日本のカステラの原形になったスポンジケーキで,とてもシンプルなお菓子です。私はハンドミキサーを持っていないので泡立て器を使っています(下手なだけかもしれませんが,バーミックスではうまく泡立てられません)。


●材料(直径21cmのケーキ型と30cm幅のクッキングシートを使う場合)
・卵黄 6個
・全卵 2個
・砂糖 85g
・薄力粉 30g
・シナモンパウダー 少々
・レモン(皮) 1/2個分


●作り方
(1)
・ボウルに卵黄・全卵を入れます
・砂糖を少しずつ加えては,泡立て器またはハンドミキサーでかき混ぜます
・生地が白っぽくなり,持ち上げるとリボン状に落ちる程度の固さにします


(2)
・(1)にすりおろしたレモンの皮とシナモンパウダーを加えます
・ふるいにかけておいた薄力粉を2-3回にわけて加え,ゴムべらで生地を切るように混ぜます
・全体に粉が見えなくなったら生地の出来上がりです
※粉が底にたまりやすいので,ゴムべらで底をすくうようにします


(3)
・ケーキ型にクッキングシートを敷きます
・(2)を流し入れて,軽く型をゆすって空気を抜きます

(4)
・180から190度に予熱しておいたオーブンに入れ,15-20分程度焼きます
・型をゆらすと真ん中部分がぷるぷるとゆれ,竹串を刺すとトロリとした生地がついてくるくらいの状態でオーブンから取り出します
・型から出して粗熱をとったら出来上がりです


火の通し方はお好みにあわせてください。今回のように半生仕上げにする場合は,オーブンの火力によって焼き時間が変わってくるので,周囲が焼けて中心部分がまだ生焼けの状態を目安にオーブンから出すようにしてください。あとは予熱で火が通り,ちょうどいい具合に半生の生地が残ります(写真右側,ケーキ中心部の切り口にたれているのが見えると思います)。シンプルなお菓子なので素材の味がそのまま生きてきます。おいしい卵を使いたいですね。私はあまり精製されていない,蜜分が残っているような砂糖を使うのが好きです。

とても簡単につくることが出来ますので,今までに紹介した料理とあわせて,ポルトガル料理のコースにしてみるのもいいと思います。若いブドウでつくるワイン「ヴィーニョ・ヴェルデ」や,デザートワインにポートワインなどをあわせるとポルトガルらしさを楽しめますよ。

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2008年02月15日

ブルガリアのピーマン肉詰め「セルミ」


【アレクサンダル・ネフスキー寺院,やっと青空のソフィアにて】

ブルガリアの2回目は留学生にご馳走になった料理です。

カヴァルマの記事で書いたように,ブルガリア・ソフィアでは1泊だけで,明けた2日目も午後にロンドン行き飛行機が発つので,かけ足の滞在になりました。それでも市場見物は欠かせず,リラの僧院から帰ってきたら何は無くともみて回りました(写真)。翌日も大急ぎでスーパーで岩塩を買ったり市内の名所を巡ったりしましたが(冒頭写真),それまでの旅程ずっと雨が降っていたのに,最終日になってやっと青空がのぞいたのは嬉しいような残念なような気持ちでした。

このようにいそがしい滞在だった上に民宿でおいしい食事が出たので,外食をしませんでした。そこで今回は,10年以上も前に学生だった頃,ブルガリア人留学生に招かれて食べたピーマンの肉詰めを思い出して紹介します。彼はトマトソースで煮込んだピーマンの肉詰めと,ヨーグルトのスープをつくってくれました。当時はまだ海外を経験したこともなく,料理にも今ほど興味がない(お金がないので安くあげることばかり)頃でしたから,スパイスの独特な風味とヨーグルトを塩味で食べることがとても印象的でした。彼は他にも,春になるとシラカバの新芽を摘んできて乾燥させたものをお茶にしたり,日本では明治ブルガリアヨーグルトがいちばん好きだったり,柔道黒帯だったり…と,いろいろ楽しい人で,ブルガリアを身近に感じさせてくれました。

あとになって調べると,ヨーグルトのスープは「タラトール」,ピーマンの肉詰めは「セルミ」という名前の料理。トマトに詰めたり,キャベツやブドウの葉で包む料理も同じく「セルミ」と呼ばれるようです。似た料理はトルコ(ドルマ)からバルカン半島の国々(ルーマニアのサルマーレ等)にかけて多くみられて興味深いです。

ピーマンの形や詰めかたで分量のバランスが変わってくるので,ピーマンを多めに用意して詰め物が余らないようにするといいと思います。オーブンにそのまま入れられるふた付き鍋を使いますが,無い場合は耐熱皿にアルミホイルでふたをしてください。

●材料(3-4人分) ・ピーマン 8個 ・合挽肉 300g ・米 150g ・タマネギ(大) 1個 ・ニンニク 2かけ ・ホールトマト 1缶 ・トマト 120g ・ヨーグルト 200g ・パセリ 2束 ・白ワイン 100ml ・水 100ml ・クミンパウダー 大さじ1/2 ・パプリカパウダー 大さじ1/2 ・オリーブオイル 適量 ・塩胡椒 適量

●作り方
(1)
・ピーマンはヘタの部分を切って(捨てずにとっておきます),スプーンを使って種をくりぬきます
・タマネギはみじん切りにします
・ニンニクはみじん切りにします
・トマトはさいの目切りにします
・パセリはみじん切りにします

(2)
・ヨーグルトにパセリの半量と塩胡椒を少々加えて,よく混ぜておきます

(3) ・フライパンにオリーブオイルをひき,タマネギとニンニクの半量を炒めます ・タマネギが透き通ったら合挽肉を加え,ぽろぽろになるまで炒めます ・米を加え,炒めます ・米が透き通ったら,パセリの半量とクミンパウダー・パプリカパウダー・塩胡椒を加えて味を調え,軽く炒めます ・全体がなじんだら火を止めて,粗熱をとります

(4) ・鍋にオリーブオイルをひき,タマネギとニンニクの残り半量を炒めます ・タマネギが透き通ったらトマトとホールトマトを加え,塩胡椒で味を調え,1/2量になる程度まで煮詰めます

(5) ・種をくりぬいたピーマンに(3)を詰めます(しっかりと,ぎゅうぎゅうではない程度に) ・ヘタの部分でふたをします

(6) ・(4)に(5)を並べます ・白ワインと水を加えます ・180度に予熱したオーブンに,ふたをした鍋を入れて,60分間煮込みます ※米がやわらかくなるまで

(7)
・鍋のふたをとり,20分間焼きます(米がやわらかくなったら水気を飛ばすため)
・焼き上がったら(2)を上からかけて出来上がりです

ちょっと欲張って詰めすぎたようです,ピーマンから詰め物がはみ出してしまいました。普通のピーマンでつくったので横に寝かせましたが,もっと大きく寸胴なものが手に入れば,縦に立てても可愛く仕上がります。その場合は,ピーマンの下側をちょっと切って平らにし,立つようにするといいです。また,今回は米に日本の胚芽米を使いました。あまり粘り気が出ない方がこの料理には合いそうですので,インディカ米を使ってもいいと思います。といっても,ブルガリア人の留学生が作ってくれたものは日本の米でしたから,あまり気にすることもないかもしれません。

2002年の旅行でのお土産集合写真が出てきました。真ん中に写っているのが,苦労して持って帰った岩塩です。民宿のお母さんに,ブルガリアの塩は海のものではなく岩塩?ブルガリア語で塩は何て言う?などなど教えてもらってからスーパーに行きました。ブルガリアの塩は岩塩で「сол(ソル)」と言うそうです。ブルガリアで塩を買われる方のご参考に…

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2008年02月05日

ギリシャの「ムサカ」


【メテオラの奇岩と修道院】

ギリシャ料理の2回目です。

ギリシャの旅行ではエーゲ海の島々を巡ってから,メテオラ修道院に向かいました。メテオラ修道院の最寄り駅はカランバカというところで,アテネから出ている夜行列車に乗ることにしていました。フェリーでアテネに着いたその足で駅へ,目当ての列車は寝台がなく普通の座席だけの夜行列車であることがわかりました。そして既に満席。「夜行列車なのに何で座席が取れないんだ!?」と窓口で騒いでいるおじさん(言葉の訛りからスラブ系の様子)もいましたが,私はそれでもまあ行ってみようと,乗車券だけを買いました。

さて列車の発車時刻,同じように座席を取れず通路に立っている人がちらほらいます。窓口で騒いでいたおじさんもいましたが,往生際が悪い人もいたものです,ずっと騒いでいました。話しかけてこられたときにちょっと応じたのが運のつき,「自分はどこそこから来たんだが,夜行列車で座席がないとはどういうことだ」といったことをしつこく聞かされました。他の車両まで行って戻ってきては話しかけられるので嫌になってしまい,疲れてもいたので,通路に適当に敷物をして,横になり寝たふりをしてやり過ごしました。他にも横になっている人はいて,ちょっとするとインドの列車のような様子でした。

明け方頃,まだ暗い中カランバカに到着。宿泊費用を浮かせるために夜行列車を使ったはずなのに,すっかり疲れ切ってしまって,宿に泊まりました。この時間にチェックインするともちろん1泊分の料金を取られます。列車よりもバスを使った方が得策でしょう。一眠りして,明るくなってから外に出ると,まず奇岩群に目を奪われます。岩山の頂上には修道院が建っています。ちょっと目を疑うような現実離れした風景です。例えがわかりづらいですが,ロジャー・ディーンが描く絵のようでした。

修道院を一巡りして,山を下ってきてから食べたのが,このムサカ(右)です。カフェテリアのようなショーケースに並んだ中から食べたいものを選ぶと,温めてからテーブルに運んでくれる方式のお店が多かったです。ムサカはラザニアのパスタ部分をナスとジャガイモにおきかえたような料理です。今回はボリュームを少なめにしたかったため,ナスとズッキーニを使ってつくりました。ミートソースにミントを加えるのがギリシャ風だそうです。

●材料(4-5人分) ・ナス 5本 ・ズッキーニ 2本 【ミートソース】 ・牛ひき肉 300g ・ニンニク 1かけ ・タマネギ(中) 1個 ・トマト(中) 2個 ・ホールトマト 1缶 ・トマトペースト 大さじ2 ・白ワイン 100ml ・ナツメグ 適量 ・ミント 適量 ・シナモン 適量 ・オリーブオイル 適量 ・塩胡椒 適量 【ベシャメルソース】 ・モッツァレラチーズ 125g ・バター 大さじ3 ・小麦粉 大さじ3 ・牛乳 400ml

●作り方
【ミートソース】
※実際はつくりやすい3倍程度の分量でつくっています(冷凍保存も出来ます)
(1)
・ニンニクとタマネギはみじん切りにします
・トマトはさいの目切りにします

(2)
・鍋にオリーブオイルをひきニンニクとタマネギを炒めます
・タマネギが透き通ったら牛ひき肉を加えて,ぱらぱらになるまで炒めます

(3) ・(2)に,トマト,ホールトマト,トマトペースト,白ワイン,ナツメグ,ミント,シナモンを加え,塩胡椒で味を調えて煮込みます ・焦げつかないようにときどきかき混ぜながら,汁気が無くなったら出来上がりです

【ベシャメルソース】
※実際はつくりやすい2倍程度の分量でつくっています(冷凍保存も出来ます)
(1)
・牛乳を鍋に入れ弱火にかけておきます

(2)
・別の鍋に火をかけバターを溶かします
・溶けたバターに小麦粉を加えて,弱火でよくかき混ぜながら炒めます
・最初は泡立ちますが,さらっとするまで炒めます

(3) ・(2)を弱火にかけたまま,(1)の牛乳を少しずつ加えては,なめらかになるまでかき混ぜます ・牛乳をすべて使うまで繰り返し,軽く角が立つくらいの固さになったら,刻んだモッツァレラチーズを加えます ・よくかき混ぜて,モッツァレラチーズが溶けたら出来上がりです

【ムサカの仕上げ】
(1)
・ナスは縦に5mm厚さ程にスライスして,水にさらしてアクをとり,水気を切っておきます
・ズッキーニは5mm厚さほどの輪切りにします

(2)
・フライパンにオリーブオイルをひき,(1)を油がなじむまで炒めます

(3) ・耐熱皿に,ナス→ミートソース→ズッキーニ→ミートソース→ナスの順番に層になるように重ねます ・いちばん上にベシャメルソースをまんべんなくかけます

(4)
・(3)を200度のオーブンで20-30分ほど焼き,表面に焦げ目がついたら出来上がりです

皿に取り分けるときに崩れてしまいました。いちばん下の層にジャガイモを使うと取り分けやすくなります。ミートソースとベシャメルソースを自分で作るのはちょっと面倒ですから,多めに作って冷凍しておくといいでしょう。また,市販のものを使う場合は味が濃いめで油が強いことが多いので,ミートソースならばトマトとハーブ類を加えて香りよく,ベシャメルソースは牛乳やヨーグルトでのばしてさっぱりさせるといいと思います。ギリシャのレストランでは,大きく作ったものを切り分けて供されることが多かったですが,上の写真のものは米ナスのような大きいナスを半分に切ったものに,ミートソース・ベシャメルソース・チーズが載っていて,このようにつくっても面白いですね。

カランバカの街で広場に腰掛けていたら,高校生くらいの子たちに「日本人ですか?」と声をかけられました。日本文化に関するイベントがあったとかで,日本に興味を持っていたようです。こういうこともあろうかと,私は折り紙を持って行くようにしているので,鶴と風船を折ってあげました。ヨーロッパでも折り紙はなかなか知られていて,話が通じやすいので,いくつか覚えておいてちょっと荷物に忍ばせておくと楽しいですよ。



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●太五郎(だいごろう)
お料理大好き30代日本男児。旅で食べ回り、家でも男の料理を楽しむ。日本の家庭料理(煮物や洋食等々いわゆるお母さん的なもの)やヨーロッパのローカルな家庭料理(特にポルトガルやギリシア料理が好き)が得意!

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