料理レシピ/ボブとアンジーブログ 旅とレシピと太五郎〜ヨーロッパの家庭料理レシピ〜

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2008年03月25日

ポルトガルの代表的料理「バカリャウ・ア・ブラス」



【ナザレ,高台から眺める海岸と赤い屋根の街並】

2004年のポルトガル旅行では,冒頭写真のナザレを起点にオビドスとアルコバサという街に行きました。オビドスは城壁に囲まれた小さなとても美しい街です。一部工事中で途切れていることもあるかもしれませんが,城壁の上をぐるり1周まわることができます。手すりも何も無い細い城壁を歩いていると,それこそドラゴンクエストに出てくる城や街を探っているような気分になります。

オビドスには無料でインターネットを使える場所があって日本語も使えたので,メールや旅行記を書いていました。ふと気付くと,乗る予定だったバスの時間まであとわずか。思い切り走ってバス乗り場に着いたときは,出発時刻ぴったりから30秒遅れた程度。しかし待てど暮せどバスは来ません。

遅れたのは私の方で,バスは実に正確な時刻に出発していたのです。

次のバスが出るのは数時間後,このままだと目的地アルコバサに着くのは夜になってしまい,修道院などを観られなくなります。タクシーを使うことにしました。あまり値切りをしない私ですが,少々節約したかったのと,どうせ乗るなら楽しんで一度やってみようと挑戦することにしました。

「アルコバサまでいくらかかりますか?」
『30-40ユーロくらいかな』
「もうちょっと安くなりません?」
『とにかく乗ってから話そう』

と,片言の英語で話してタクシーに乗ります。

「25ユーロになりませんか?」

英語があまり通じない運転手さんはうーんと唸って,(運転しながら)手帳を取り出し何か書き始めます。筆談はいいけどハンドルから手を離して危ないなあ…と思っていると「27」と書いて見せてきます。値切り成功!と思い,ガイドブックで「27」は何と言うのか調べて「ヴィンテ イ セッテ(vinte e sete) ユーロ。ありがとう。」と伝えました。これに運転手さんも喜んでくれたようで,アルコバサまで「日本でも魚やタコをよく食べる」という話題で(単語の羅列ですが)盛り上がりました。そういうわけで,アルコバサも無事楽しむことが出来て,「vinte e sete」が最も印象に残るポルトガル語になりました。

さて今回の料理は「タラのコロッケ」の回にも触れた「バカリャウ・ア・ブラス」という,干し鱈をジャガイモ・タマネギと炒めて卵とじにするものでポルトガルの家庭料理の定番です。日本・アラスカ産の鱈を使ったバカリャウを通信販売しているところを見つけたので,それを使ってみます。

●材料(4人分)

・バカリャウ 500g
・ジャガイモ 中4個
・タマネギ 中2個
・卵 3個
・オリーブ 10粒程度
・イタリアンパセリ 数束
・塩胡椒 適量
・オリーブオイル 適量

●作り方
(1)
・バカリャウを一晩から丸一日ほど水に浸して,途中,水を2-3回替えながら塩抜きします
※塩が抜け過ぎるとおいしくないので,少しちぎって味を見ながら塩辛過ぎない程度までにします

(2)
・鍋で湯を沸かして(1)を10分程度茹でます
・鍋から取り出して粗熱をとったら,骨と皮を取り除きます
・身を細かくほぐします

(3)
・ジャガイモは細目の拍子木切りにします
・タマネギは細目のくし形切りにします
・卵は軽く泡立つくらいに割りほぐします
・イタリアンパセリは粗くみじん切りにします

(4)
・鍋にオリーブオイルをはって,ジャガイモを揚げます(フライドポテトです)
・きつね色にあがったら,ペーパータオルなどで油を切っておきます

(5)
・フライパンにオリーブオイルをしいて,タマネギを炒めます
・タマネギが透き通ってきたら,(2)を加えて炒めます
・さらに(4)を加えて炒め,全体がなじんだら卵を加えて炒めます
・卵が全体に行き渡り,固まってきたら火からおろしてオリーブを加えます
・皿に盛って,イタリアンパセリを散らしたら出来上がりです
※卵が固まりすぎると美味しくないので,少々とろっと仕上がるようにします

とてもシンプルですが,それだけにバカリャウの塩抜き・ほぐし方,ジャガイモの切り方,卵の仕上げ具合などの工夫で,色々な違いが出てくるようです。鱈の旨みとジャガイモがよくあって,それを卵がふんわりとまとめてくれる料理です。バカリャウが手に入らない場合は,甘塩鱈や生の鱈に多めに塩をふって一夜干しにしたものを使うといいです。香りを出すために鱈の珍味を加えてもいいですね。「タラのコロッケ」でコメントいただいて,その後鱈の珍味を使ったコロッケを試してみましたが,バカリャウの雰囲気が出ていました。

7ヶ月間・20回にわたってヨーロッパの家庭料理を紹介してきましたが,これで最終回となります。私のポルトガル愛のせいか,最終回含めて実に20回中7回がポルトガル料理でした。最後の最後の写真は「vinte e sete」ユーロにまけてくれ,私がポルトガル語に興味を持つきっかけをつくってくれた運転手さんです。

お読みいただきどうもありがとうございました。

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2008年03月14日

ハンガリーのクレープ「パラチンタ」



【ブダペスト,ミュンヘンからの夜行列車で到着】

デザートもの第2弾はハンガリーのクレープをフランスっぽいソースで。

はじめての海外旅行は,カリーヴルストの回にも書いた1996年のことでした。お金を騙し取られたせいで,その後トラブルに遭わないように気をつけるようになったことだけでなく,このときの経験が後の旅行方針にも影響を与えているように思います。

大きく3つの方針があります。まず,現地の色々なものを食べてみること。最初の旅行でレストランでの一人食事をためらってしまった後悔をくり返さないためです。観光客が少ないレストランは一人では入りづらい雰囲気の場合も多いですが,そもそも日本人であることで目立っているので,気にしても仕方ないと思ってとにかく飛び込んでいます。

次に,移動には極力鉄道を使うこと。英→仏→独と移動したときに感じた風景の変化がとても印象に残っていて,国境を越えるような鉄道を旅程に組み込んでしまいます。時間さえ許すならば,鉄道は距離感を体で感じられて移動時間自体を楽しめる,とてもいい移動手段だと思います。

そして観劇や音楽を楽しむこと。生まれて初めてベルリンでオペラ(『セビリアの理髪師』)を観たのですが,末席だったとはいえチケットが1500円程度だったことに何より驚きました。思わず「桁が違わないですか?」と聞き返してしまいました。あまりに慣れていなくて幕間の休憩時間を終演と勘違い,かといって正面入口も開かなくて…非常口から外に出てやっと気付いて引き返した,なんてこともしてしまいました。言葉はわからなくても雰囲気で楽しめますし,オペラが上演されるような劇場は建築自体も素晴らしいものが多くて,それもまた見どころです。

というわけで,ブダペストでも国立オペラ座でのブダペストフィル公演に行きました。その帰り道に近くのレストランで食べたのがこの「パラチンタ」です。左上にちょっと写っているのはこれまたハンガリー名物の貴腐ワイン。おなか一杯のほろ酔い加減で宿に戻りました。このパラチンタは折り畳まれたものに,桃とクリームのソースがかかってアイスが添えられていましたが,調べてみるとクルクルと巻いて仕上げたものが目立ちました。甘いデザートだけでなく,チーズやハムをあわせたものもあるそうです。

今回はボブアンの料理レシピにもあるクレープ・シュゼットにもちょっと似た感じで,日本のみかんを使って作ってみます。

●材料

【クレープ】
・薄力粉 75g
・グラニュー糖 35g
・塩 少々
・卵 2個
・牛乳 250ml
・無塩バター 10g
・無塩バター(焼き用) 適量

【フィリング】
・リコッタチーズ 250g
・みかんジュース 50ml
・みかん 2個分

【ソース】
・グラニュー糖 30g
・無塩バター 30g
・みかんジュース 200ml
・コアントロー 20ml
・みかんの皮 1/2個分


●作り方
【クレープ】

(1)
・ボウルに小麦粉・砂糖・塩を入れ,真ん中に卵を落として少しずつかき混ぜます
・全体が均一になってきたら溶かしたバターを加えて混ぜます
・牛乳を1/3量加えて混ぜます(いちどに加えると混ざりにくいため)
・残りの牛乳を加えて混ぜ合わせ生地とします

(2)
・フライパンを熱してバターをひきます
※底面の直径が15cm程のフライパンを使っています
※フライパンは焼く面に手を近づけて温かさを感じる程に熱します。バターをひくときはペーパータオルなどでぬぐって,うっすら残る程度にします。
・(1)の生地を流し入れて両面を焼きます
※生地は1枚分がお玉2/3杯ほどです。片面は焼き色がつく程度(生地のふちがうっすらと茶色くなるのが目安)焼き,スパチュラなどを使ってひっくり返し,もう片面は10秒程度焼きます。
・焼き上がったら冷やしておきます

【フィリング】

(1)
・ボウルにリコッタチーズを入れ,みかんジュースを混ぜ合わせます
・房からとりだして適当な大きさにほぐしたみかんを加えます
※甘さ控えめになりますので,お好みで砂糖を加えてください

(2)
・クレープにフィリングをのせて端からくるくると巻きます
・耐熱皿に(2)を並べます

【ソース】

(1)
・みかんの皮は細切りにします

(2)
・鍋(ソースパンのような厚手の鍋がいいでしょう)にグラニュー糖を入れて火にかけます
・しばらくすると砂糖が融けてきてカラメル色に色づくので,いったん火からおろしてからバターを加え溶かして混ぜます
・みかんジュースと(1)を加えて,半分量になるまで煮詰めます

(3)
・煮詰まったらコアントローを加えて,アルコールを飛ばします
※アルコールに火がつくことがあるので気をつけてください

【仕上げ】
・耐熱皿に並べたクレープをオーブンで200℃・15分ほど焼きます
・焼き上がったらソースをかけて出来上がりです

クレープはオーブンで焼かずに冷蔵庫で冷たくしても美味しいと思います。ハンガリーでは生地を溶くのに炭酸水を使うこともあるようで,ハンガリーの方がご覧になったらパラチンタじゃない,と思われてしまうかもしれません。クレープを使った料理はルーマニアやオーストリアなどの中欧諸国にも,食事からデザートまで様々なアレンジがあります。いろいろな食べ方を試してみると面白いですね。

ブダペストの国立オペラ座での開演前の様子です。このときはチャイコフスキーとラフマニノフの曲が演奏されたように覚えています。クラシック音楽の他にも,各国内でヒットしているポップスやロックのCDを何枚か買って帰ることにしています。日本ではなかなか知る機会のない面白い音楽が多く,その国の料理を作って食べるときに聴くのも楽しくおすすめの土産です。


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2008年03月04日

チェコ,茹でパン「クネドリーキ」


【プラハ,カレル橋からプラハ城をながめて】

ボブアンの料理レシピにもあるポテトダンプリングを,ちょっと違った作り方で。

このポテトダンプリング,クネドリーキという名前で,チェコでは肉料理に添えられる定番の主食です。他にもポテトを使わないもの,パンを細かく切って混ぜ込んだもの,果物やジャムを入れて仕上げるものなどいろいろな種類があります。私もプラハを訪ねたときは毎日食べましたが,写真左にあるような,イースト菌を使って発酵させてふっくら仕上げたクネドリーキは,中華まんのガワのような食感が印象的でした。ソースを含みやすいので,グヤーシュのような料理によくあいます。

写真右は「ウ・メドヴィードクー」というレストランで食べた一皿です。塩漬けの豚肉に,ザワークラウトとクネドリーキが添えられています。チェコはビールも有名で,ピルスナービールが産まれたところです。また一人あたりのビール消費量も世界一だそうです。このレストランではバドワイザーの元祖となった「ブドヴァ」というビールを飲むことが出来,私が今まで飲んだビールの中でいちばん美味しかったと思っています。

2000年の旅行はオーストリア・チェコ・ポーランドと内陸部を巡ったので,肉料理をいただく機会が多かったのですが,加工や調味の種類が豊富であることに驚きました。日本では馴染みの無い果物と肉との組み合わせ,馴染みがあるハムの類でも味が全く違うことなどなど,風土が育んだ食文化を感じる旅でした。

さて今回は,ウ・メドヴィードクーを真似して,ジャガイモも使ったクネドリーキに,塩漬けの豚肉とザワークラウトをあわせてつくってみます。豚肉は低温でじっくり加熱してやわらかく仕上げます。ザワークラウトは漬物なので乳酸発酵で酸味を出すのですが,時間もかかるのでワインビネガーで味付けをする,なんちゃってザワークラウトにしています。

●材料

【塩豚】
・豚ロース肉かたまり 500g
・塩 40g
・ミックススパイス(1回目参照,塩は入れません) 適量

【ザワークラウト風キャベツ】
・赤キャベツ 1/2個
・塩 5g
・白ワインビネガー 60ml
・砂糖 10g
・キャラウェイシード 小さじ1
・ローリエ 1枚
・オリーブオイル 適量

【クネドリーキ】
・ジャガイモ 500g
・小麦粉 150g
・塩 5g
・卵 1個

●作り方
【塩豚】

(1)
・豚肉のかたまりに塩をすり込みます
・密閉できるポリ袋に入れて,冷蔵庫に3-4日間置きます
※肉から水分が出てきて,肉の表面に透明感がある状態になります

(2)
・ボウルなどに水を張り,塩をひとつまみ入れます
・(1)を水洗いしてから,ボウルの水に1時間ほどつけて塩抜きをします

(3)
・(2)の水気をペーパータオルなどでふき取り,ミックススパイスを全体にまぶします
・密閉できるポリ袋に入れて,出来るだけ空気を抜いてからふたをします

(4)
・鍋に70-80℃のお湯を張り,(3)を入れます
・70-80℃を保つように火加減を調節しながら,1時間ほど加熱します
・1時間加熱したら鍋から取り出し,肉汁が落ち着くまで冷まします
※炊飯器の保温モードを使って加熱すると手間がかからないそうです


【ザワークラウト風キャベツ】
(1)
・赤キャベツは幅5mmくらいの千切りにします
・塩をふり,全体にいきわたるように軽くもんでおきます

(2)
・フライパンにオリーブオイルをひき,赤キャベツを炒めます
・全体がしんなりして赤キャベツから水分が出てきたら,砂糖・白ワインビネガー・ローリエ・キャラウェイシードを加えて炒めます
・白ワインビネガーの水気が飛んで,赤キャベツがやわらかくなったら出来あがりです


【クネドリーキ】
(1)
・ジャガイモの皮をむき,適当な大きさに切ります
・鍋に水を張り,塩を一つまみ入れてジャガイモをゆでます
・串がとおるほどの固さにゆで上がったら,ざるにとり水気を切ります
・ボウルなどに入れて,マッシュポテトのようにつぶします

(2)
・(1)に小麦粉と卵を加え,よく混ぜます
・全体がよくまとまってきたら,まな板など台になるものの上でこねます
・全体が均一になるまでこねたら,直径6-7cmの棒状にまとめます

(3)
・鍋にお湯をたっぷり沸かして,塩を加えます(パスタを茹でる程度の塩加減)
・(2)を鍋に入れて,お湯がふつふつと沸いている状態で,ときどき生地を返しながらゆでます
・20-30分程度ゆでると生地が浮いてくるので,取り出して厚さ6-7mmくらいにスライスします

それ自体はあまり味のしないクネドリーキに,豚肉の味を染ませるとよく合います。時間があれば本式に漬けたザワークラウトの方が美味しいですが,これはこれで雰囲気を楽しめると思います。塩漬けの豚肉はこのようにローストポーク風に仕上げる他にも,炒め物や煮物に使っても美味しいので,豚肉が安いときに買ってきて塩漬けにしておくと便利です。

これまでの記事でもプラハに行ったことは書いていましたが,今回はじめてチェコの料理を紹介しました。チェコはビールがとても美味しかったというのもありますが,とにかくプラハの街並の美しさに圧倒されました。人形劇やオペラも楽しめ,旅するにはとてもいいところでした(困ったのは夜行列車くらい)。

料理の写真を撮っているうちに,もっと綺麗に撮ってみたいと思うようになり,コンパクトデジカメを使っていたのを,今回からデジタル一眼に新調してしまいました。その成果が出ていればいいのですが。新しいカメラを持ってまた食べ歩きに行きたいものです。







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●太五郎(だいごろう)
お料理大好き30代日本男児。旅で食べ回り、家でも男の料理を楽しむ。日本の家庭料理(煮物や洋食等々いわゆるお母さん的なもの)やヨーロッパのローカルな家庭料理(特にポルトガルやギリシア料理が好き)が得意!

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